私は、地域を作品の舞台として扱うのではなく、地域そのものを作品として捉えています。この実践を「グランドアート」と呼んでいます。土地、建築、暮らし、記憶、そして人々の関係が重なり合う場所を、ひとつの完成形に閉じることなく、受け継ぎ、更新していく試みです。
その第一作となる《京島屋梅里》は、私が所有する、大正15年に建てられた元長屋の建物です。ここでは建物そのものと、この場所に積み重ねられてきた時間を作品として提示します。そこに生きた人々、交わされた言葉、日々の出来事、関わってきた人たちの物語もまた、作品を構成しています。
私は、この建物をアート作品として販売します。ただし、一人の所有者に委ねるのではなく、この場所と作品の可能性に共鳴する複数の人々との共同所有を目指します。所有を、場所の未来に関わり、その価値を共に問い続ける行為として捉え直したいと考えています。
土地の価格によって測られる価値に、建物が生きてきた時間や、人々が育んできた関係の価値をどう重ねることができるのでしょうか。数値に置き換えにくい記憶や物語を、どのように受け継ぎ、社会の中に位置づけられるのでしょうか。本作は、共同所有者とともに、その問いに取り組みます。
《京島屋梅里》の販売と共同所有は、作品を継続させるための実践であり、作品の一部でもあります。何を守り、何を変え、次に誰へ手渡すのでしょうか。その選択と対話を重ねながら、この場所は作品として更新されていきます。
ひとつの建物を作品として所有することは、どのような未来を共に引き受けることなのでしょうか。《京島屋梅里》は、その問いを社会に開く、グランドアートの最初の実践です。
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後藤大輝










